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466. 新しい見解--間質性肺炎の急性増悪(AE-ILD)

急性増悪の正しい定義づけを行い、その病因を明確にし、真に有効な治療方法を確立したい、というのが世界的な動きである。
今回、Acute Exacerbation in Interstitial Lung Disease
2017 Oct 23 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5660065/#B30
の論文を読み、なるほどと思うところが多かった。以下骨子である。

≪急性増悪の発生高リスク群≫
1年間にAEを起こす発生率は、(データによって異なるが)、参考値としては、IPF では7~ 19.1%、NSIPでは4.2%、CTD-ILD(膠原病由来)5.6%、UIPパターンを有するRA-ILD(リウマチ由来)11.1%。
UIPパターン(あるいはUIPを疑う)の病状が進行した間質性肺炎患者に多い。

≪急性増悪の定義≫
・(UIPパターンを背景に)びまん性(両肺)のすりガラス状陰影が新たに発生している状態
fmed-04-00176-g002.jpg
・1ケ月以内で起こる急速な呼吸困難
・明確な原因(外科生検、感染症など)を除外する

≪急性増悪の発生メカニズム≫
進行した肺線維症では、内因、外因ともに非常に脆い状態になっていると考えられる。
肺胞上皮細胞の接合が障害され失われることにより、フィブリン(血液凝固たんぱく)の増加とリモデリングを促す。
これがBALで見られる好中球の出現や病理組織学的なDAD(びまん性肺胞障害)を発生させる。

またM2マクロファージ*が活性化することで、炎症系サイトカインや抗炎症系サイトカンが多く発現する

*マクロファージは外傷や炎症の際に活発となり、死んだ細胞などを捕食する白血球の1種。

さて、ここからは私の考察である。
実際に急性増悪+パルス治療を経験された方の、治療前、増悪中の血液検査結果はどうなっているのだろう?
セオリー通り、それ以前のベースラインと比べて、白血球↑、抗中球↑、CRP↑になっているのだろうか?
LD、KL-6、SP-Dも顕著に↑しているのだろうか?
情報共有して頂ければ有難い。

私は、記事386.「進行性肺線維症という概念 その3」http://kinseym.blog.fc2.com/blog-entry-386.html で、「急性増悪は、肺線維化が非常に進行した状態で起きる、肺の最終的な”内部崩落”である。肺の内部環境(肺の委縮、毛細血管の損失、肺内の分泌物など)があるエンドポイントに到達した時に自ずと起きるもので、感染症などの外部要因による炎症で起きる増悪とは全くの別物である」 という私見を書いた。
今回の論文を読んで、見解を少し修正したい。

急性増悪は、内的・外的刺激が引き金になって、肺胞の崩落(肺胞接合の欠落)が起きる。ここまでは変わらない。
しかし呼吸不全の直接的な原因は、内部崩落そのものではなく、肺胞崩落を契機として、フィブリン、マクロファージがいっきに増え、肺胞内炎症を起こすことなのでは。
これが「新たに発生したすりガラス陰影(肺が真っ白)」であり、呼吸不全の原因だろう。

そうであるなら、通常はステロイドの効かないIPFにも、急性増悪時には、一種のショック療法として、ステロイドパルスが有効なのは分かる。肺胞内の炎症系サイトカインや抗炎症サイトカインがケイオスとなった環境をリセットする目的だろう。

しかし、パルスに使うステロイド量については疑問が残る。
また、この急性増悪と、それ以前の増悪(小崩落)への対処法(ステロイド量含む)は、異なってしかるべきだと思う考えは変わらない。



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プロフィール

ゆりりん

Author:ゆりりん
1962年生まれの56歳、京阪神に生息。
2014年12月末にIPFの告知を受けてから、経過と探求の日々を綴っています

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