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443. PRM-151~呼吸器内科医のコラムより

日経メディカルのコラム「Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ」(2018/7/27付)の2つめの開発薬は、PRM-151だった。https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kurahara/201807/556486.html
同様に全文を転記掲載する。

私の記事内容「432-3 PRM-151フェーズII治験結果・考察」http://kinseym.blog.fc2.com/blog-entry-433.html と比較して読んで頂くと、分かりやすいと思う。

『今回は、遺伝子組み換え型ヒトペントラキシン2に関する論文です。

論文は、JAMA誌に投稿された「IPF患者におけるプラセボと比較した遺伝子組み替え型ヒトペントラキシン2の努力性肺活量に対する効果:ランダム化比較試験(Effect of Recombinant Human Pentraxin 2 vs Placebo on Change in Forced Vital Capacity in Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis : A Randomized Clinical Trial)」(Raghu G, et al. JAMA. doi:10.1001/jama.2018.6129)です。

まず、ペントラキシンって何よ、って話です。
私も詳しいわけではないのですが、「CRPの仲間」だと理解すればよいと思っています。炎症性メディエーターのうち、ペントラキシン構造のアミノ酸配列をもつ一群をペントラキシンファミリーと呼びます。このペントラキシンファミリ―の中には、CRP、血清アミロイドAなども含まれます。ペントラキシン2は組織が損傷したところで作用し、線維化を抑制する作用があります。今回使われた遺伝子組み換え型ヒトペントラキシン2はPRM-151という名で知られており、TGF-β1を過剰発現したブレオマイシン肺線維症モデルのマウスだけでなく、骨髄線維症などの他臓器の線維性疾患でも有効性が確認されています。

本研究は、遺伝子組み換え型ヒトペントラキシン2とプラセボを比較し、28週時点での努力性肺活量の平均変化を調べることが目的です。

IPFと診断された患者さん117人が対象となりました。適格基準は、年齢40~80歳、%努力性肺活量50%~90%、1秒率70%超、%DLCO25~90%、6分間歩行距離150m以上などの規定が設けられています。7カ国18施設で3年近くにわたり第2相が実施され、登録された患者さんはランダムにペントラキシン2(10mg/kg静注4週ごと:77人)あるいはプラセボ(39人)に24週間割り付けられました。プライマリエンドポイントは、ベースラインから28週時点での%努力性肺活量の最小二乗平均変化としました。セカンダリエンドポイントは胸部HRCTにおける肺容量の変化、6分間歩行距離としました。

登録患者さん117人がランダム化されました。1人を除く116人が少なくとも1回の薬剤治療を受けました(平均年齢68.6歳、81%が男性、IPF診断からの平均期間3.8年)。111人が試験を完遂しました。ベースラインから28週時点での%努力性肺活量の最小二乗平均変化は、ペントラキシン2群が-2.5%、プラセボ群が-4.8%でした(差+2.3%、p=0.001)。肺容量については両群とも有意差はありませんでした。6分間歩行距離の変化はペントラキシン2群で-0.5m、プラセボ群で-31.8mでした(差+31.3m、p<0.001)図)。ペントラキシン2による有害事象として、咳嗽、疲労、鼻咽頭炎などが報告されていますが、特有の重篤な有害事象はなかったようです。

ペントラキシン
図 ベースラインからの6分間歩行距離の平均変化(m)(文献より引用)

努力性肺活量については、4週ごとのフォローアップ時にペントラキシン2群とプラセボ群のグラフがクロスしており、何とも言えない結果になっています。また、もう少し全体像が見えやすい分布が「Supplementary Online Content」に掲載されているのですが、有意差はあっても努力性肺活量を実臨床で抑制できるパワーがあるかどうか微妙です。ただし、探索的アウトカムではあるものの、6分間歩行距離が減らなかった、というのは期待できる治療法かもしれません。

近年、IPFには期待される治療薬が複数登場しており、「努力性肺活量の低下をどこまで抑制できるか」というのが一番の注目ポイントになっています(死亡率を下げるほどのドラスティックな薬剤はそうそう実現できないため)。こういうダイヤモンドの原石の中から有効と判断された治療薬が、新しい治療を心待ちにしているIPF患者さんの生存期間を一刻も早く延長してほしいと願っています。』

「是非に及ばず」でご紹介している論文は、できるだけ最新のものを早く、そして分かりやすまとめることを心掛けている。
今回の専門医のコラムのご紹介で、裏付けできれば幸いだ。



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プロフィール

ゆりりん

Author:ゆりりん
1962年生まれの56歳、京阪神に生息。
2014年12月末にIPFの告知を受けてから、経過と探求の日々を綴っています