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442. GLPG1690~呼吸器内科医のコラムより

日経メディカルのコラム「Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ」(2018/7/13付)で、GLPG1690開発薬を紹介されていたの
で全文を転記掲載する。https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kurahara/201807/556485.html

私の記事内容「365. GLPG1690、オートタキシン阻害薬」http://kinseym.blog.fc2.com/blog-entry-365.html と比較して読んで頂くと、分かりやすいと思う。

『2018年5月にサンディエゴで開催されたアメリカ胸部学会(American Thoracic Society)の総会では、特発性肺線維症(IPF)の新しい治療がいくつか紹介されていました。その中で、トップジャーナルに掲載されたものを今月2編紹介させていただきます。

今回は、オートタキシン阻害剤に関する論文です。

論文は、Lancet Respiratory Medicine誌に投稿された「特発性肺線維症に対する新規オートタキシン阻害剤GLPG1690の安全性、忍容性、薬物動態学、薬力学(FLORA研究):第2a相ランダム化プラセボ対照試験(Safety, tolerability, pharmacokinetics, and pharmacodynamics of GLPG1690, a novel autotaxin inhibitor, to treat idiopathic pulmonary fibrosis (FLORA): a phase 2a randomised placebo-controlled trial.)」(Maher TM, et al. Lancet Respir Med. 2018 May 18. pii: S2213-2600(18)30181-4. doi: 10.1016/S2213-2600(18)30181-4. [Epub ahead of print])です。

「オートタキシンは血液中に存在するリゾホスホリパーゼで、リゾホスファチジルコリンを加水分解してリゾホスファチジン酸(LPA)を産生する酵素です。LPAがたくさん産生されることで、LPA受容体が活性化され、線維芽細胞の遊走が促進されます(図)。そのため、オートタキシンを阻害することで、線維化を抑制できる可能性があるのです。

オートタキシン

図 オートタキシンと肺の線維化

実際、IPFの患者さんは肺組織のオートタキシン濃度が上昇しており、気管支肺胞洗浄液中のLPAも上昇しています。そのため、非常に理にかなったターゲットと考えられます。オートタキシン酵素を阻害したかどうかは、血清LPAC18:2値で確認されます1)。

FLORA研究は、ランダム化二重盲検プラセボ対照第2a相試験で、イタリア、ウクライナ、イギリスの17施設で実施されました。40歳以上の非喫煙者で、ピルフェニドンやニンテダニブを内服していないIPF患者さんを適格基準としました。プラセボ群とGLPG1690群に1:3の割合でランダムに割り付けされ、12週間におよび安全性や薬物動態などが検証されました。効果アウトカムを検証する臨床試験ではありませんでしたが、セカンダリアウトカムとしてスパイロメトリーも実施しています。

登録されたのは8施設から23人でした。6人がプラセボ群、17人がGLPG1690群に割り付けられました。試験を完遂できたのは20人でした。結果としてかなり小規模ではあります。

忍容性は良好で、第3相試験を立案するには問題ないと結論づけられました。両群ともに、死亡例はありませんでした。IPF患者さんにおけるGLPG1690の薬物動態学・薬力学は健常者のそれと同等でした。セカンダリアウトカムであるスパイロメトリーは、12週時点の努力性肺活量の平均変化が報告され、GLPG1690群+25mL(95%信頼区間-75~+124)、プラセボ群-70mL(95%信頼区間-208~+68)でした。バイオマーカーである血清LPAC18:2値もGLP1690群でちゃんと減少していました。

セカンダリアウトカムの努力性肺活量については過度な解釈はNGです。12週時点での短期の解析であり、また人数も少ない研究での探索的なアウトカムです。かのピルフェニドン2)やニンテダニブ3)でさえ、12週時点で努力性肺活量減少が-70~-80mLと言われていますので。

もちろん、第3相試験で「努力性肺活量減少がほとんどない」という結果が出れば、びまん性肺疾患の世界は大騒ぎになります。』



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コメント

日本での早々の治験実施を期待したいですね。そして早々の認可となりますように。

肺活量減少を抑制でなく、肺活量減少を阻止となれば凄いことだとおもいます。

Re: タイトルなし

ぼっちさん
まだ数年はかかるでしょう。
でも肺移植条件をクリアできない患者群(私もそうなると思います)には、こういう新薬や、再生医療のニュースが希望になりますね。

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プロフィール

ゆりりん

Author:ゆりりん
1962年生まれの56歳、京阪神に生息。
2014年12月末にIPFの告知を受けてから、経過と探求の日々を綴っています