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408. 病名と病理パターン名

間質性肺炎の分類疾患名と、病理組織(あるいはHRCTパターン)名とが混乱して使われているケースがあるので、今一度整理しておこうと思う。

間質性肺炎というのは、肺胞隔壁が炎症あるいは傷害される疾患のこと。略語では、ILD(=Interstitial Lung Disease、肺間質におきる疾患)である。
よって、膠原病が根っこにある場合は、ILDという病名が正しい。
154. 肺病変先行型ILD http://kinseym.blog.fc2.com/blog-entry-154.html

ブログでもよく使っているIIPsは、膠原病や薬剤性など、明らかな原因が分からない(=「特発性」=Idiopathic)病気の呼称で、「特発性間質性肺炎」を指す。
IIPsの場合、まずは高解像度CTの画像診断により、病名分類の当たりをつける。
多数派で最も典型的な画像が「UIPパターン」*と呼ばれるもの。これは病理パターンであって病名ではない。
*英語ではUsual interstitial pneumonia、「通常の」の意味。胸膜直下、肺下葉に優位、網状影(進行していれば蜂巣肺)

UIPという特徴的な画像所見が出た場合は、IPF(特発性肺線維症)という病名がつく。
「UIPパターンの可能性はあるが典型的でない」、「UIPとは矛盾する所見がある」場合には、画像所見よりも精度の高い、肺胞液から細胞を取って病理分析するBAL(気管支肺胞洗浄)や、肺組織を胸腔鏡下で外科的に切り取るVATSなどを薦められる。
がんの検査等で行われる「細胞診・組織診」が、これに当たる。

病理組織の分析が終わると、それぞれに対応する病名があるので、医師としては「疑い」ではなく、正式病名の診断が下せるわけだ。

病理チャート

けれど、患者としてはリスクもある「侵襲性の高い」検査であり、(苦しい割にメリットが少ないので)、患者が受けたくないといえば、そのまま「疑い」の診断のまま治療を開始してくれる医師も多い。
118. ILD>IIPs>IPFの関係http://kinseym.blog.fc2.com/blog-entry-118.html

NSIPにもfとcのタイプがあり、進行性の線維化が起こるのはfNSIP、ふるふるさんがこの病名分類だった。このタイプはIPFと同様、ステロイドや免疫抑制剤は無効と言われており、治療は抗線維化薬が中心になる。IPFが慢性経過を辿るのに対して、fNSIPは亜急性のタイプもあり、IPFよりも予後が悪い場合もあるようだ。早めにいずれかの抗線維化薬を試して、反応性があるかどうかを見るべきだと考えている。このあたりをある種の憤りをこめて書いた記事が、261. NSIPとIPFの僅差http://kinseym.blog.fc2.com/blog-entry-261.htmlだ。

ただ悩ましいのが、膠原病が根っこにあるが肺病変が先行するタイプ、こちらもNSIPの病理パターンを呈することが多い。264. デフォルト私見http://kinseym.blog.fc2.com/blog-entry-264.html
そのため、ステロイドや免疫抑制剤を全く試さない、ということは医師側としても悩むところだというのは理解できる。



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1.26追記 「UIPパターンの可能性はあるが典型的でない」という患者の場合、NSIPという病名診断がつけられることが多いです。
そして上記に書いたような理由でステロイド投与を受けるのですが、後ろ向き研究により、このステロイドへの反応がある患者の割合が相当に低いこと、ステロイドによって蒙る被害が大きいこと、についての学術論文が紹介されています。
倉原優医師のブログで、一読の価値はあります。ようやく私が主張してきたことの学術裏づけが出て嬉しいですが、何故もっと早く、と悔しい気持ちもあります。

http://pulmonary.exblog.jp/26241585/
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コメント

KL-6について

初めて書きます。
他のブログでも、先週からコメントしています。
私は、3年前に発病して、少しづつステロイドが減ったものの、また増えたり、本当に落ち着きません。
これまでは、何とかいろいろ調べてみたのですが、どうにもKL-6の値が、下がりません。
どのくらいならまだ大丈夫なのか?
主治医に聞いても、すぐには大丈夫、しかし年単位ではわかりません、との返事です。
この値だけが指標ではないと思いますが、どう考えられますか?
宜しくお願い致します。

Re: KL-6について

PONTAさん、私の記事の「血清マーカー」を読んで頂ければ、回答になると思います。

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プロフィール

ゆりりん

Author:ゆりりん
1962年生まれの56歳、京阪神に生息。
2014年12月末にIPFの告知を受けてから、経過と探求の日々を綴っています