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392. ピレスパ®の増悪抑止力

日本での認可が先行し、欧米で使われ出して3年となったピルフェニドン(日本での薬名ピレスパ®、米国での薬名Esbriet®)。
2017年ヨーロッパ呼吸器学会国際会議(イタリア開催)で、過去のフェーズ3治験の分析調査結果により、ピルフェニドンは肺の線維化の進行を遅らせることができるとともに、増悪や入院のリスクを下げることが分かった、という発表がなされた。
“Incidence of Multiple Progression Events in Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF) in the Pooled CAPACITY and ASCEND Trials”
http://ers-eposter.key4events.com/42/52693.pdf

ピルフェニドンを服用した623人とプラセボの624人との比較で、12ケ月の比較調査によると、肺機能の悪化を34%抑制、呼吸器の問題による入院を38%抑制した。
プラセボ群での死亡率は6.3%、ピルフェニドン群では2.1%だった。
さて、この数字をどう考えれば良いのだろう。

下図は、最もピルフェニドンの効果が分かりやすい、と思い発表中から選んだ図である。
”event“=増悪と考えてよさそうだ。
増悪が一度起こり、そこからピルフェニドンを服用した人と、二度起こってから服用を開始した群があり、これに対してそれぞれプラセボ群がある。
x軸は時間経緯、y軸はそれ以降増悪を起こしていない人の割合を示している。

時間経緯と比例して増悪率は高まっているが、プラセボと較べると「明らかなマージン差」がある。
これがピルフェニドンの効能ということになるのだろう。

ピレスパ

確かにマクロからみると「大した差異ではない」ということになるのかもしれないが、この差異は、「ピルフェニドンが有効な人は増悪を起こさない」という結果からきたものと考えることもできる。
つまり、統計分析というのは平均値だから、ミクロ的に考え、もし自分がピルフェニドンが効くタイプのILDであった場合、ずっと増悪を起こさない紺色のラインにとどまることができる可能性もある、ということだ。
効かないものを長く続ける必要はないが、効くタイプかどうか3ケ月くらいは試してみる、そういう価値を感じた調査報告であった。



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2017.10追記: 比較的元気だった頃には「抗線維化薬は飲みません、肺移植は考えません、私は短い余命を受け入れています」と言っていても、その後得られる情報の変化や自身の体調の変化に伴い、考えが変わることはままあることです。呼吸器内科医との面談はさほど頻繁に行われる訳ではないので、初期表明がずっとカルテに残っていて、「本当は抗線維化薬を薦めたかったのだが、飲まないということだったので、お薦めしませんでした」ということにもなりかねません。「選択肢はオープンにしていますよ」という患者のほうが、長生きできるかもしれないな、と思いながら書いた記事です。
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プロフィール

ゆりりん

Author:ゆりりん
1962年生まれの56歳、京阪神に生息。
2014年12月末にIPFの告知を受けてから、経過と探求の日々を綴っています