FC2ブログ

記事一覧

387. 甘い記憶

ケーキなどの洋菓子は自分で買って食べることはないのだが、ドーナッツは時々無性に食べたくなる。
本当に色々な種類が展開されているが、私の一番好きなのは「ホームカット」、とてもシンプルで懐かしい味の一品だ。
初めて食べた時、「え?」とばかりに当惑した。
母が作ってくれていたドーナッツの味。子供の頃の味覚の記憶が溢れてきたのだ。

私が小学生だった頃は、買い物はもっぱら魚屋、肉屋、野菜屋などの個人商店の集りである市場で、そこではドーナッツのようなしゃれたお菓子は売っていなかった。
鶏卵もモミ殻の上に鎮座して売られていたような時代の話だ。

小麦粉にベーキングパウダーを混ぜ、砂糖、牛乳、卵、バターかサラダオイルを少々。
ドーナッツ型で抜くのではなくて、こねあわせた生地を両手で細長い紐のようにして、端をつないで輪っかにする。 
熱した油の中にゆっくりと落とす。
ふくらんできて穴がつぶれないように、菜箸で穴まわりをくるくる回して形をととのえる。
きつね色に色づいたら揚げ物鍋から取り出して、網をしいたパッドの上で油を切る。
その上からサラサラとグラニュー糖をまぶせば出来上がりだ。
こうしていても、熱した油の匂いと生地の甘い匂いが、脳内で香り立つようだ。

過去の記憶を少しずつ失ってきている母に、「昔作ってくれたね」と言っても、多分もう覚えていないだろう。
きっとこれは、私にとっての子供時代の幸せな記憶で、いつでも取り出してきて味わえるsweet memoryなのだ。



にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ゆりりん

Author:ゆりりん
1962年生まれの56歳、京阪神に生息。
2014年12月末にIPFの告知を受けてから、経過と探求の日々を綴っています

このページのトップへ